新しい精液検査を開始しました。
「精子の質」を評価する新しい精液検査を開始しました。
当院では、通常の精液検査では分からない「精子の質」を評価する検査として、精子DNA断片化検査(DFI検査)と精液中酸化ストレス検査(ORP検査)を導入しました。これらの検査はWHOが新しい精液検査項目として認めております。
通常の精液検査に加えて本検査を行うことで、男性側の隠れたリスク因子を特定できる可能性があり、今後の治療方針を立てるための指標となります。
【精子DNA断片化検査(DFI検査)とは?】
DNAに大きな損傷がある精子の割合(DFI:精子DNA断片化指数)、およびDNAの成熟が不十分な未熟な精子の割合(HDS)を調べる検査です。DFIが高い場合、受精率・胚発生率・妊娠率が低下し、流産率が上昇することが報告されています。また、男性不妊症の方ではHDSが高く、HDSが高い場合は、受精率・妊娠率の低下と流産率の上昇と関連するとの報告があります。
精子濃度や運動率に問題がなくても、DNA断片化率が高い場合は、妊娠率が低下します。
DFI24%以下およびHDS10%以下を正常範囲と判断しています。
【精子酸化ストレス検査(ORP検査)とは?】
精液中の酸化ストレスの強さを酸化還元電位(ORP)として数値化し測定する検査です。精子DNAに損傷を与える原因として、酸化ストレスが最も多くを占めています。不妊症の男性は、精液中の活性酸素濃度が高く、抗酸化物質の濃度が低い可能性が高いという研究結果があります。
測定結果は100万精子当たりの電位差で表示され、1.34mV未満を正常範囲と判断しています。
酸化ストレスは喫煙、肥満、過度の運動などの生活習慣や精索静脈瘤の有無によって増減すると言われています。精液中の酸化ストレスが高い場合は、酸化ストレスを下げるように生活習慣の改善や、抗酸化作用があるサプリメントの摂取が有効であると報告されています。また、精子濃度や運動率に問題がなくても、DFIやORPが高い場合は自然妊娠率が低いため、人工授精や体外受精へのステップアップをお勧めします。
【検査をお勧めする方】
●精液検査の結果が不良で、その原因がスクリーニング検査(男性不妊外来)で見つからない方
●受精率の低い方
●胚盤胞到達率の低い方
●良好胚が得られない方
●なかなか妊娠に至らない方
●流産を繰り返す方
●40歳以上の方
●精索静脈瘤がある、またはその手術歴がある方
●原因不明不妊の方(タイミング療法・人工授精治療中)
【検査方法と費用】
検査方法:精液検査と同じ容器に精子を入れてご提出ください。
費用:DFI検査のみ:13,200円(税込)
DFI+ORP検査:18,700円(税込)
※どちらも保険適用外となります。
【ご予約方法】
アプリにてご予約ください。
来院目的:精液検査(DFI検査)